小林麻央 生検スルーと誤診問題
小林麻央さんに北斗晶さん。2人は乳がんの啓発活動にも積極的で、乳がん検診の受診率に良い影響を与えているのは確かでしょう。
しかし、有名人のケースが特殊なものだった場合、そこから得られる教訓に偏りが生じてしまう心配もあります。
小林麻央さんと北斗晶さんの場合は、いずれも検診を受けていたにもかかわらず早期発見・早期治療に至りませんでした。ここから、「検診を受けても無駄なのでは?」と考えるのはもちろん誤り。検診によって乳がんを早期に発見できている人も大勢います。
そして、今気がかりなのは、小林麻央さんの誤診疑惑から引き出されてしまうかもしれない教訓。
つまり、「検診を受けるなら必ず生検まで行うべき」という教訓です。確かに、小林麻央さんのケースでは、乳がんが疑われた最初の再検査の段階で生検を行ってれば結果は変わっていた可能性はあります。しかし、だからといって「少しでも疑わしい場合は生検まで」という選択をすべての人が行ったら、それはそれで別の問題が生じてしまいます。
生検を必ず受けるが正解なのか?
乳がんの検診には、マンモグラフィ、超音波検査、視診・触診、MRI、生検などがありますが、この中で生検は少し特殊な位置づけです。
「マンモグラフィだけでなく、超音波検査も足しておこう」は、オプション感覚で追加していっこうに構いません。
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これに比べると、「生検を足しておこう」はずっと重たい選択になります。生検には痛みや、少なからず危険も伴い、むやみに行えばかえって患者の不利益につながるからです。また、検査を受ける人が急増すれば医療費だってふくれあがります。
生検は組織診、病理検査とも呼ばれ、針をつかった針生検と、手術を行う外科生検があります。針といっても注射針ではなくて特殊な針です。この点については小林麻央さんが9月15日付けの「現実」と題するブログで描写しています。
太い注射針のようなものを刺して、
パッチン! ! パッチン!!
と、こんな感じです。麻酔をしているとはいえ、ちょっと怖いですよね。
再検査で小林麻央さんの乳がんを発見できなかった医師に、「どうして生検をしなかったんだ!」というのは簡単ですが、結果はさておき、不必要な検査を行わないことは医療倫理的にも間違ってはいません。
検診に追加するなら、細胞診が一般的
乳がん検診では、まず乳がんが疑われる人をふるいにかけるスクリーニングを行います。スクリーニングでひっかかる人はかなりの数に上ります。そこから、さらに乳がんが疑われる人をしぼりこむわけですが、マンモグラフィや超音波検査では判断できないケースが出てきます。
そうしたときに選択されるのが細胞診です。がん細胞の採取を目的とする点は生検と似ていますが、大きく違うのは負担の大きさ。
細胞診には注射器を持ちいる穿刺吸引細胞診と乳汁の分泌物を調べる方法があります。精度に関しては生検に劣り、がんかどうかをはっきりさせる確定診断はあくまでも生検によって行われます。
細胞診は5段階で評価され、1~2なら、4~5なら悪性の疑いがあり、3はその中間。1~2なら基本的にこれ以上検査を続ける必要はなく、3以上で生検を検討するそうです。
スクリーニングとはいえ、乳がんが疑われると言われたらとても不安になりますよね。もし、「まあ、大丈夫でしょう」くらいの軽いのりで乳がんを否定されたら、「本当?」「見逃してない?」といっそう不安になってしまいそうです。そういうときのために細胞診という選択肢があります。
小林麻央さんの場合もそうだったかも知れませんが、授乳中の生検は避ける傾向にあるようですね。一方、授乳中でも細胞診は普通に行われています。もちろん、乳がんが強く疑われる場合には、授受中であろうと、最初から生検です。