タキソールを延命治療に用いることがある
小林麻央さんは抗がん剤タキソールを使用していることを9月15日付けのブログで明かしています。
タキソールの用途は術前・術後の化学療法、再発防止、症状緩和とさまざまですが、再発後の延命治療にも用いられます。
再発防止と延命治療の目的の違い
抗がん剤を用いる目的は、手術前にがんを小さくしたり、手術後に再発しないようにするためです。十分な効果を得るためには、身体に与えるダメ―ジを考慮しながら薬が強く働くように投与します。
しかし、再発が認められ治癒を目指す治療が困難な場合は投与の仕方も変わってきます。強すぎる抗がん剤の使用はがん細胞だけでなく患者の体力も奪ってしまいます。また、吐き気をはじめとする副作用によるQOL(生活の質)の低下も防がなければなりません。
がんの進行を抑えつつ、患者の体力を奪わないように配慮して、できるだけ副作用が出ないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。そのひとつの方法が、通常よりも少ない抗がん剤を通常よりも頻繁に投与するというもの。これは日本で始まった投与方法なのだそうです。
タキソールの極少量抗がん剤療法
タキソールは通常250~300ミリグラム投与されます。しかし、これを15ミリまで減らして投与し成果を上げたケースが「がんサポート」HPで紹介されていました(わずかな副作用で延命効果を得る極少量抗がん剤療法)。極少量抗がん剤療法を受けたのは、乳がんで全摘手術を受けた後に再発し、肝臓、肺などにも転移が認められたAさん。
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極少量のタキソール投与でしたが、がんの増殖を示す腫瘍マーカーは3カ月後に約50分の1まで低下し、症状に苦しめられていた腹水も改善したそうです。少量でも効果が出た要因は、強すぎる抗がん剤で抑えられていた免疫力が働いたためではないかとしています。
タキソールの通常の投与は3週間ごと、これに対して少量を投与する方法では1週間ごとになるそうです。なお、当初、進行を抑える目的で始まった1週間ごとの投与ですが、手術の前に腫瘍を小さくするために行う術前化学療法においても3週間ごとよりも1週間ごとの方が成績が良いという報告もあります。
そのため治癒を目的とするタキソール投与においても1週間ごとの投与が行われるようになりました。この場合、3週間ごとの投与に比べれば1回ごとに投与する量は減らしますが、先ほどの極少量抗がん剤療法のように極端に減らすことはなく、細かく分割することで全体の投与量をむしろ増やしてがん細胞をたたく狙いがあります。
小林麻央さんの場合は治癒を目指したタキソール投与なのか、そうでないのかは分かりません。極少量を長期にわたって投与し続けるといった内容であれば、症状の緩和や延命を主な目的とした治療の可能性もありそうです。