口の中にできる癌を口腔がんといいます。その中で最も多いのが舌にできる舌がん。尖った歯や詰め物による物理的刺激や喫煙の影響で発症すると考えられていますが、他の要因もあります。
オハイオ州立大学のモーラ・ギリソン氏をはじめとする研究チームが1974年から2007年の間、米国内の白人男性を中心とする口腔がん患者数を調査したところ、225%も増加していることが分かったそうです。その背景にあるのはオーラルセックスではないかとされています。なぜでしょうか?
子宮頸がんと同じヒトパピローマウイルスが関与
性行為によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)はこれまでも子宮頸がんの原因として知られていました。しかし、HPVが引き起こす癌は子宮頸がんにとどまりません。
モーラ・ギリソン氏らの研究によれば、6人以上のパートナーとオーラルセックス経験を持った人は、それ以下の人よりも口腔がんを含む頭部がん・頸部がんリスクが8倍高くなったそうです。オーラルセックスによるHPV感染が原因ではないかと考えられています。
痛みの有無よりも、見た目の異常に注意
口腔がんの中でも発生率の高い舌がんの特徴を見ておきましょう。舌がんはかなり進行してからでなければ痛みが生じません。しかし、舌の状態をよく観察してみると、周囲とは異なる病変が見つかることが多いそうです。典型的なのは、歯の当たる舌の側面が白っぽくなる「白斑病変」です。
注意が必要なのは、舌がんの症状の中には口内炎と似たものがあること。舌がんを口内炎だと思って放置していると、がんが進行してしまう恐れがあります。口内炎であれば2~3週間たてば改善してきます。それ以上経っても治る気配がないときは、医療機関を受診することをおすすめします。
口腔がんの発生率は低いが予後が悪い
日本における口腔がんの割合は低く、がん全体の2~3%程度とされています。現在のところ、米国に比べればオーラルセックスによるヒトパピローマウイルス感染で発症するケースは稀かもしれません。ただし、今後は米国に近づいていくことも考えられ、実際、がん全体に占める割合こそ少ないものの、口腔がんは年々増えているそうです。
口腔がんは早期に発見されることが稀なため、発見後の死亡率は50%と非常に高く、毎年約3000人が死亡しています。また、進行した口腔がんの治療では舌の一部または全体を取り除くことで容姿が変化したり、言葉を話すのが困難になるといった後遺症の問題もあります。
一方、口腔がんは早期に発見できれば生存率は8割以上になり、後遺症もほとんどありません。早期発見のために注目されているのが「ベルスコープ」という検査機器です。特殊なライトを照射することで、肉眼では見えない病変を発見でき、早期発見と予後の向上を期待できます。ベルスコープは一部の歯科医院に導入されています。私たちにとって、普段、口の中をチェックしてくれる身近な専門家は歯医者さんです。歯科治療と合わせて、口腔がんの早期発見にも努めてくれる歯医者さんがいれば心強いですよね。
ももクロ有安、扁桃腺を取っていた! 無くてもいい部位だったんだ!?