国立感染症研究所の報告によると、夏かぜの代表であるヘルパンギーナが西日本を中心に流行しているそうです。5月30日から6月5日における全国の患者報告数を見ると35都府県で前週を上回っていました。ヘルパンギーナはありふれた夏かぜで基本的には怖くない感染症ですが、まれに髄膜炎に発展するので注意が必要です。
ヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナの症状には次のものがあります。
・突然の発熱
・咽頭痛
・口腔内の痛み
・上記の症状に伴う不機嫌・拒食
・乳幼児の場合は哺乳障害
子どもが突然40℃近い熱を出すのがヘルパンギーナの特徴。熱は早期に下がりますが、その後、のどの痛みや口腔内の痛みのため食事ができなくなることがあります。ただ、それも3~4日で治まります。
注意が必要な無菌性髄膜炎の症状
ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルス。エンテロウイルスはヘルパンギーナの他に手足口病の原因にもなり、さらに無菌性髄膜炎の原因にもなります。脳や脊髄を包む「髄膜」という膜にエンテロウイルスが侵入して炎症を起こすのが無菌性髄膜炎です。
無菌性髄膜炎の症状は突然の発熱まではヘルパンギーナと似ていますが、その後に次のような症状が続きます。
・頭痛
・嘔吐
・首の後ろが硬くなり、首が曲がらない
・けいれん
・意識がもうろうとする
強い頭痛を訴え、何度も嘔吐する場合は無菌性髄膜炎が疑われ、さらに、けいれんや意識障害が現れるようだと危険な状態といえます。エンテロウイルスを原因とする無菌性髄膜炎は、細菌を原因とする細菌性髄膜炎に比べて危険は小さいとされており、後遺症が残ることはまれですが、子どもに気になる症状が現れたら早めに小児科を受診しましょう。