妊娠に影響する多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療

多嚢胞(のうほう)性卵巣症候群(PCOS)は若い女性の間で増えているそうです。ニキビや多毛、肥満といった症状が見られ、不妊の原因にもなります。

卵胞が沢山できて発育しない

多嚢胞性卵巣症候群は排卵のメカニズムと密接に関わっています。卵細胞は、袋状をした卵胞の中にあり、卵胞が破裂することで排卵が起きます。通常、卵胞は2センチほどの大きさに成長すると破裂し、ひと月に1回ずつ排卵が起きるようにバランスがとれています。

ところが多嚢胞性卵巣症候群においては、卵胞がたくさん作られてしまい、ひとつひとつの発育に非常に時間がかかります。ある程度までは大きくなっても排卵が起きるには至らないことが多いのです。排卵が正常に行われないために月経不順や不妊が生じます。月経不順の期間が長く続けば、エストロゲンの影響により子宮体がんなどのリスクも増加する心配があります。

多嚢胞性卵巣症候群の治療

多嚢胞性卵巣症候群の診断はホルモン負荷試験、卵巣の超音波検査によって行われます。超音波検査では、数が多く、発育不足の卵胞を確認することができます。腹腔鏡下手術で卵巣の一部を採取し、顕微鏡検査によって確定診断を行うこともあります。

多嚢胞性卵巣症候群の大きな問題は、約9割の女性に見られる不妊症です。腹腔鏡下手術によって、卵巣の表面に小さな穴を沢山あけて排卵を促す治療が可能です。効果が持続するのは1~2年に限られていますが、70~100%の確率で排卵を期待できるとされています。

近年ではインスリン抵抗性との関連が注目されています。体重を減らし、糖尿病をコントロールすることで多嚢胞性卵巣症候群が改善する例もあります。自分でできる予防・改善法としては、規則正しい生活によるストレスの軽減、糖尿病にならない生活習慣が挙げられます。

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