俳優の渡瀬恒彦さんが3月14日、胆のうがんのため東京都内の病院で亡くなりました。渡瀬さんは津川警部シリーズを降板するなど病状が心配されていました。
報道によれば、渡瀬さんは放射線治療と抗がん剤治療しか受けていませんでした。胆のうがんにおいて、「外科手術を行っていない」ということは良い情報ではありません。胆のうがんで治癒を期待できるのは、手術によってがんを完全に切除できる場合のみだからです。
大きく2つに分類される胆のうがんの治療法
胆のうがんは次のように大きく2つに分類されます。
<限局性>
手術により完全に摘出することができ、治癒を目指すことができます。
<切除不能、再発、転移>
手術を行ってもがんを完全に摘出できず、治癒は期待できません。
手術のできる限局性か切除不能かで意味合いは大きくことなります。胆のうがんが見つかった患者さんの多くは切除不能に分類されるといわれています。
胆のうがんの生存率
胆道がん(胆のう、胆管を含む)の生存率は手術で切除可能かどうかで次のように変化します(全国胆道癌登録調査報告)。
<切除可能>
1年生存率 68%
3年生存率 47%
5年生存率 42%
<切除不可>
1年生存率 22%
3年生存率 3%
5年生存率 1%
このように、1年生存率でも3倍以上の差があり、3年・5年生存率になるとその差はさらに広がります。
このように生存率を確認した後だと、渡瀬さんが手術を受けていないことの重大さがよくわかります。報道においてはしばしば「闘病中であったが完治に至らなかったために死亡」という語られ方をします。このように聞くと、完治の見込みがあったのに実現できなかったかのような印象を受ける人もいるでしょう。
しかし、実際には当初から切除不能であり、もともと完治を期待できる段階ではなく、それゆえに厳しい闘いだった可能性が高いのではないでしょうか。
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