北斗晶さんの傷痕公開宣言に考える 「全摘手術は悲惨さの象徴であるべきか?」

北斗晶さんは明らかに乳がんの早期発見に貢献しています。北斗さんの印象的な言動やがんに挑む逞しい姿勢は多くの女性に、「私も乳がんかも知れない! 検査を受けなければ!」と思わせ、検診の受診率を上げるほどの影響力を発揮しました。

しかし、少し気になることもあります。例えば、こんな発言です。「いつかこの傷も全て世間の皆さんに見せようと思ってるんだ。こんな風になっちゃうんだよ!!って。乳癌撲滅の為に裸を見せる位、役に立てるならいいと思ってる」

北斗さんの乳がん撲滅の志は本物だと思います。ただ、全摘手術を「こんな風になっちゃう」というように悲惨さの象徴とするのはいかがなものかという意見もあるでしょう。特に現在の乳がん手術に詳しい人であれば、全摘後の乳房再建術の進歩についてもご存知かと思います。全摘手術→乳房再建術の流れは、乳がんに悩まされる人の希望ともなり得るものであり、決して悲惨さの象徴ではないように感じるのです。

アンジェリーナ・ジョリーさんのケースとの対比

有名なケースをひとつ挙げてみましょう。米国の人気女優・アンジェリーナ・ジョリーさんは、自らの意志で乳房切除手術を受けました。ジョリーさんの母親は乳がんのため10年近くに及ぶ闘病生活を送ったといいます。卵巣がんも併発し、56歳の若さで亡くなっています。母方の祖母も40代で卵巣がんで亡くなりました。ジョリーさん自身も将来乳がんになる可能性は87%、卵巣がんは50%以上と診断されたそうです。そして、可能性の高い乳がんに対して予防的に手術を受けることに決めました。乳首と乳輪、皮膚を残した乳房の全摘手術です。

もちろん、乳がんを発症してしまった北斗さんと、乳がんにはなっていないジョリーさんとでは条件が異なる点は押さえておく必要があります。ただ、ジョリーさんのケースではあまり悲惨さが強調されていない点に注目したいと思います。ジョリーさんのエピソードが悲惨な話という印象を与えない理由は、予防的な手術で乳がんのリスクが下がるというポジティブな側面があること、そして重要なのが、再建術によって美容上の問題もクリアーできることがセットで語られているためではないでしょうか。

一方、北斗さんのケースでは、治療の一時的な段階としての「切除された乳房」にばかりフォーカスし、その後の再建が語られていません。乳がんになるかも知れない人、まして、既に乳がんを宣告されている人にとっては、「乳がんに対する恐怖」だけでなく、どのような希望があるかについての情報も必要なはずです。

全摘手術は必ずしも「温存手術より悪い」を意味しない

人工乳腺(インプラント)が保険適用になったのは2013年のことです。乳房をすべて切除したとしても、形成外科の技術によって整容性を回復することができます。まず、乳がん手術の際に大胸筋の裏側に、スペースをつくるための「エキスパンダー」を入れておきます。そして、十分なスペースができてから、エキスパンダーを人工乳腺に入れかえる2回目の手術を行います。これまで自費で行われてきたこうした治療が保険で受けられるようになり、乳房再建を前提とした乳房全摘を選択する人が増えたといいます。

乳房の切除を最小限にとどめる手術を「温存手術」といいます。しかし、部分的にであれ乳房を切除すると形が崩れてしまいます。温存はできたけれど、形には不満というケースが少なくありませんでした。温存手術だと乳房がきれいに残り、全摘手術だときれいに残らない、という話ではないのです。現在の全摘手術は、温存手術ができないときに仕方なく行うものという位置づけではなくなってきています。再発リスクを抑えた上で、見た目の問題にも配慮した治療として、積極的に選択されるケースも多いことを知っておいてほしいと思います。

乳がん手術後の再建術にはさまざまな方法があります。ここでふれた人工乳腺以外にも、自分の筋肉や脂肪を使った自家組織移植(保険適用)や、お腹や太ももからとった脂肪を胸に注入する脂肪注入(自費診療)などもあります。乳がん手術を考える際は、切除の側面だけでなく、再建の側面にも目を向けるのがバランスの良い見方といえるのではないでしょうか。

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