ループス 副作用に苦しむセレーナ・ゴメス
ループスという病気は、歌手のセレーナ・ゴメスさんが発症したことで多くの人の知るところとなりました。ループスというのは狼のことで、この病気特有の紅斑が狼に噛まれた跡のように見えることからそう呼ばれています。正式には全身性エリテマトーデス(SLE)という膠原病です。この病気は女性に多いのが特徴で、発症する人の約9割は女性で、20~30歳代の若い人にも多く見られます。
セレーナ・ゴメスさんの場合、ループス(全身性エリテマトーデス)の治療に専念するため2013年にワールドツアーを中止。そして、今回は再び休業することが海外メディアを通じて発表されています。
気になるのは、不安感やパニック障害、うつといった副作用にふれていること。ループス(全身性エリテマトーデス)の精神的な影響について見てみましょう。
ループス 症状の中には精神的なものもある
ループスの症状は心臓、肺、腎臓といった臓器から、関節、皮膚にいたるまで多彩です。その中には「中枢神経障害」(CNSループス)と呼ばれる精神的なものもあります。
「中枢神経障害」(CNSループス)として頻繁に見られる症状には次のものがあります。
・うつ状態
・情緒不安定
・不眠
・神経症
・幻覚
・錯乱
そして、ループス(全身性エリテマトーデス)の治療に必ず用いられるステロイドにも精神面への副作用が伴うことがあります。
ループス 副作用はステロイドによるものか?
ステロイドは精神神経面の病気を招くという報告があります(アメリカンジャーナル・オブ・サイカイアトリー誌2014年12月号)。
それによると、ステロイドによる治療を終えた人の内、100人中15.7人が精神疾患を発症、初めて治療を行った人に限ると100人中22.2人が発症していたといいます。かなり高い割合ですよね。
精神疾患には次のようなものがあります。
・うつ病とそう病を繰り返す
・認知機能が低下する
・ストレスに弱くなる
・性格が変化する
・自殺や自殺未遂
かつてループス(全身性エリテマトーデス)の5年後生存率は50%程度だったそうです。現在では10年生存率が90%を超えるまでになっています。
その背景には、
・ステロイドの大量投与
・サイクロフォスファマイド(抗がん剤)の大量投与
による治療の進歩がありました。
ただし、セレーナ・ゴメスさんの場合がそうであるように副作用に悩まされるケースもあります。セレーナ・ゴメスさんは治療を優先し、副作用とつきあっていく、そして、そのために大切な活動であっても制限する、という選択をされたのでしょう。恐らくループス(全身性エリテマトーデス)に悩まされる多くの人が同様の選択を迫られています。セレーナ・ゴメスさんのニュースを通じて病気に対する理解が広まることを期待したいですね。
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