ダンス&ボーカルグループ「東京女子流」の小西彩乃さんが腰痛の治療に専念するために活動を休止することが分かりました。腰痛は、高齢の人に多く見られますが、成長期の若者やスポーツで体を酷使する若者にも見られます。若い人に多く見られる腰痛にはどのようなタイプがあるのでしょうか?
激しい運動をする人の腰痛のタイプ
激しい運動を継続的に行っている人は、腰に疲労がたまって周辺の筋肉が固くなっていることが少なくありません。運動をする人は健康的というイメージがありますが、腰痛に悩まされるアスリートは多いのです。
激しい運動に伴う腰痛のタイプを、ものすごくおおざっぱに分類すると、腰を丸めたときに痛いタイプと、腰を反ったときに痛いタイプに分かれます。腰を丸めた姿勢が腰に良くないのは分かりやすいと思います。このタイプは背中の筋肉があまり使われず、発達もしていません。主に腹筋が使われ、その腹筋は固くなっています。悪化すると腰椎椎間板ヘルニアになりやすいのはこのタイプです。
一方、一見すると姿勢が良いように見える腰を反った姿勢も腰痛の原因になります。これは「反り腰」ともいわれ、女性に多いのが特徴です。また、鍛えられたアスリートは腰の筋肉(脊柱起立筋)が発達していることが多く、強い腰に過剰に依存した動きを繰り返していると筋肉が固くなって腰痛を引き起こします。このタイプでは背中側が酷使される反面、腹筋群が上手く使われていない可能性があります。女性でハイヒールを履く人は反り腰になりやすく、また、妊娠すると体のラインが変化し、前方に出てくる大きくなったお腹のバランスを取るために、一時的に反り腰になりがちです。
疲労が原因になる腰椎分離症…椎間板ヘルニアとの違いは?
成長期でまだ骨がしっかりしていない時期に激しい運動を行うと腰椎分離症になることがあります。腰椎分離症は、腰の疲労骨折と言い換えることができます。腰に負担のかかる動き、特に、急激に反る、急激に捻るなどの動作を繰り返すことで発症しやすいと考えられます。
背骨は、切り株のような形をした骨が積み重なっており、この骨のひとつひとつを椎体といいます。椎体の中には脊柱管といって、中に神経が通っている管があります。何らかの原因で脊柱管が圧迫されると腰痛や下肢のしびれといった症状が出ます。
椎体を細かく見ていくと、脊柱管に対してお腹側にあるのが「椎骨」で、これが背骨を支える主要な部分になります。椎骨は縦に連なり、椎骨と椎骨の間にはクッションの役割を果たす椎間板があります。椎間板の中のゼリー状の成分である髄核が飛び出して神経を圧迫するのが腰椎椎間板ヘルニアです。
これに対して腰椎分離症では、脊柱管に対して背中側にある「椎弓」にトラブルが生じます。繰り返し加えられる背骨への衝撃によって椎弓が疲労骨折を起こしてしまうのです。椎弓側に疲労骨折が起き、連結が弱まることで背骨全体が不安定になり、靭帯などの周辺組織の負担も増えます。腰の重さやだるさを感じるようになり、特に運動をしたときに痛みが出ます。腰を反らしたときに痛みが出やすのが特徴です。また、椎弓側の連結が弱まったことで、腰椎椎間板ヘルニアを合併しやすくなります。
腰痛というと真っ先に思いつくのが腰椎椎間板ヘルニアではないでしょうか。報道からは小西さんの腰痛の詳細は分かりませんが、若い人、女性、運動(ダンス)といった条件を考慮すると、疲労の蓄積による反り腰や腰椎分離症の可能性も考えられるのではないでしょうか。活動休止はとても残念ですが、治療に専念することが長い目で見て良い結果につながることを願いましょう。